第328章

スキンヘッドの男は、意に介した様子もなく鼻を鳴らした。

「海老原和生、そう焦ることはない。いずれ必ず、俺の提案を検討する日が来るさ」

 俺は彼を睨み据え、どうすればこの男の干渉を避けられるか、内心で策を巡らせた。

 突然、彼が指をパチンと鳴らす。

 その瞬間、目に見えない力に引かれるような感覚に襲われ、意識が急速に霞んでいった。

 次に我に返った時、本田安奈の声が鼓膜を震わせた。

「おじさん! 大丈夫? 脅かさないでよ!」

 その声は、不安と恐怖に満ちている。

 俺は重い瞼をこじ開けた。視界が徐々に鮮明さを取り戻していく。

 本田安奈の顔がすぐ目の前にあった。唾を飲み込むが...

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