第374章

武田桜の瞳には淡い憂いが滲んでいた。彼女がじっと黒田輝を見つめると、黒田輝は罪悪感に苛まれたのか、気まずそうに顔を背けた。

「ありがとう」

武田桜は陶器の器を受け取り、礼を言うと、小さく口をつけた。

その時、バケツを手にした丸山玲子が戻ってきた。武田桜がいることに気づき、さらに俺の姿を見て意外そうな声を上げた。

「おじさん、どうしてここに?」

俺は笑って答えた。

「丸山玲子、俺が来ちゃ駄目か? お前たちに会いに来ちゃいけないのか?」

丸山玲子はすぐに手を振って否定した。

「違うわよ。ただ、原住民の島にいて忙しいだろうから、こんなところに来る暇があるなんて思わなかっただけ」

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