第388章

 言い終えるより早く、長老の拳がうなりを上げて突き出された。だが、その拳は伊藤陸斗の残像を虚しく貫いただけだった。

 次の瞬間、鮮血に染まった短剣が長老の下腹から突き出た。刃には血と肉片がどろりと絡みついている。

 伊藤陸斗は、平然としたまま短剣を引き抜いた。その血塗れの刃は、じわりと形を変え、彼の手へと戻っていく。

 彼は冷え切った目で、真っ赤に染まった短剣を見下ろしていた。

 長老は力が抜けたように、その場に崩れ落ちる。おれは叫びながら飛び出し、何も考えずに伊藤陸斗めがけて拳を叩きつけた。

 しかし、その拳はあっさりと握り止められる。彼はおれを一瞥し、淡々と告げた。

「海老原...

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