第395章

伊藤陸斗は淡々とした笑みを僕に向け、穏やかな口調で告げた。

「海老原和生、私は君を信頼しているよ」

 俺は瑠璃を振り返った。彼女は軽やかに身を翻して船に乗り込む。俺もそれに続こうとした、その時だった。

 桟橋の突き当たりに、見覚えのある人影が現れた。

 俺はその姿を見止め、大声で呼びかけた。

「もう出るぞ! 一緒に行くか?」

 その言葉が終わるや否や、男は早足でこちらへ歩み寄ってきた。彼は伊藤陸斗を一瞥すると、無言のまま船へと飛び乗った。

 無表情に腰を下ろし、船縁にもたれかかる。その瞳には、伊藤陸斗への明らかな敵意が宿っていた。

 俺は伊藤陸斗に向き直り、確認した。

「彼...

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