第436章

本田安奈はとても上機嫌だった。俺が聞いたこともない歌を口ずさみながら、俺の手を握り、木漏れ日が揺れる頭上を見上げている。

言葉はなかった。ただ、この得難い安らぎと静寂を二人で分かち合っていた。

ふと俺が横を向くと、本田安奈もこちらを見ていた。その口元には、淡い微笑みが浮かんでいる。

集落が近づいてきた頃、本田安奈がそっと手を離そうとした。

俺はその手をぎゅっと握り返し、怪訝な顔で尋ねる。

「どうしたんだ?」

本田安奈は苦笑した。

「もうすぐ集落よ。ずっと手を繋いでいるのは、あまり良くないでしょう?」

俺は笑って答える。

「俺たちの関係なんて、もうみんなお見通しだろ」

少し...

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