第456章

「ある国の話なんだけどな」

おれはそう前置きしてから、ゆっくりと言葉を紡いだ

「そこは、まるで原始人族みたいな国でさ。何度も革命を起こして、そのたびに政権が入れ替わったんだ。で、いざ国が安定して、戦もなくなってからは──不思議なことに、民の暮らしはどんどん悪くなっていった」

「最終的に、その国はたったひとりの男に、すべての希望を託した。彼の意思を、そのまま国の方針にしちまったんだよ。そしたら国はあっという間に強大になって、他国の侵略にまで乗り出した。全盛期には、原始人島の五万倍の領土を手に入れてた」

伊藤拓巳の目に、淡い憧れの色が宿る

「その国の未来は、とても明るく見えますね」

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