第8章

森の奥深くへと進もうとしたその時、けたたましい物音があたりの静寂を破った。

一本の影が、藪の中から飛び出してきた。その速さは舌を巻くほどだ。

俺はとっさに木の枝を構えて身を守ったが、すぐにそれがただの怯えたウサギだと気づいた。

本田安奈は悲鳴を上げ、俺にきつく抱きついてきた。

俺は彼女の背中を軽く叩いて慰める。「大丈夫だ、ただのウサギだよ」

彼女の頬は恐怖で赤らんでいたが、その弱々しさが俺の庇護欲をかき立てた。

俺たちは前進を続け、森の中を歩き回りながら手頃な丸太を探した。

しばらく探した末、俺はようやく一本の太い白樺を見つけた。

救命用斧を振るい、数回で幹...

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