第4章
絵里視点
「悟!」
思わずスプーンを落としそうになり、私は息を呑んだ。
「何してるの? 休んでなきゃだめでしょ」
「寂しくなっちゃって」
彼は私の首筋に顔をうずめ、つぶやく。背中に彼の胸がぴったりと押し付けられる。
「それに、めまいがしたから、何か安定したものに捕まりたくて」
『これじゃ全然安定しない。むしろ逆効果だ』
彼の体はすごく温かくて、その息遣い一つ一つが伝わってくる。腰に回された腕に力がこもり、私は彼の体に溶けてしまいそうになっていることに気づいた。
「悟、病人なんだから」
なんとか声を絞り出すけれど、自分でも息が上がっているのがわかる。
「ちゃんと横...
ログインして続きを読む

チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章

5. 第5章

6. 第6章

7. 第7章


縮小

拡大