第6章

 卓上が立ち去った後。私はナイフとフォークを置き、どっと押し寄せた疲労感に任せて椅子の背もたれに深く体を沈めた。

 私の上の空な様子を察した浅原は、手早く会計を済ませてくれた。三十分後、車が行き着いた先は、高級住宅街にひっそりと佇む立派な一戸建ての前だった。

 浅原は車のドアを押し開けると、真鍮製のカードキーがついた鍵を私の手の中にポンと放り投げた。

「君のために用意したサプライズだ」

 私は目を丸くした。

「普通のアパートを借りてくれるって、そう約束したじゃない」

「あの賃貸契約は私が一方的にキャンセルした。今日から、君はここで暮らすんだ」

 こんな価値の計り知れない物件など...

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