第123章 一番騙しやすい

昨日の、あの不良鋼材――あれだけは、どうしても真相を突き止めなければならない。

けれど正面から調べたところで、まず尻尾は掴めない。責任者は最初から手を打っている。帳簿は完璧に整えられ、何を問いただしても時間の無駄だろう。

なら、やり方を変える。

鋼材市場は広く、店が肩を寄せ合うように並び、あちこちに鋼材が山と積まれていた。

江島結奈は、その中でもひときわ規模が大きそうな店の前で足を止める。

入口の看板には大きく「大西製鋼」。店内には規格の違う鋼材がぎっしりと積まれていた。

中年の男が一人、しゃがみ込んで帳面に何かを書きつけている。

「すみません。A992ってありますか」

男が...

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