第158章 前川俊輔を見逃す

窓の外の光が漆黒から濃紺へ、濃紺から白みがかった朝へと移り変わっていく。江島結奈はずっとベッドヘッドにもたれ、虚空の一点を見つめたまま、同じ問いを頭の中で何度も転がしていた。

――この詰みかけた状況を、どうやってひっくり返す?

考えうる手は、いくつも浮かんでは消えた。短期間で風見家を叩き潰し、永橋正彦の両親に風見雪音を見限らせるか。それとも、いっそ風見雪音を殺すか。

そして最後の最後に、吐き気がするほど嫌な選択肢が顔を出す。

前川俊輔を見逃す。

そのことを思い浮かべただけで、胸の奥から強烈な拒否感がせり上がった。

拘置所で見た、前川俊輔が床にうずくまり悲鳴を上げる姿。あのときの快...

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