第12章

古崎拓人はこらえた。立ち上がりかけた身体を押し戻し、椅子に座り直す。

空気に引っ張られたのだろう。斉藤夢子の感情が、彼にまで伝染していた。

けれど我に返ると、自分の反応が妙に思えた。安田歌子とは、そこまで親しいわけでもない。なのに、抱きしめたいだなんて――どうしてそんな衝動が湧いたんだ?

コメント欄は安田歌子の立ち回りにすっかり心を奪われていた。

【まさか安田歌子、小村の食堂に来たのって明日の仕事探しのためだったのか】

【能力高すぎ。何をするにも計画がきっちりしてる】

【好き……賢いし謙虚だし、修理もできて料理もできるって完璧かよ】

【沈村遥と真逆。沈村遥は何もできないのに何で...

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