第26章

「私……?」

安田歌子は少し考えてから言った。

「私……そういうのは、まだ考えたことない」

自分があとどれだけ生きられるのかさえ、分からない。そんな余裕がどこにあるというのだ。

それに――前の人生で受けた傷は、あまりにも深かった。もう一度誰かを愛する方法が、自分には分からない。

その答えを聞いても、古崎拓人はそれ以上踏み込まなかった。

数人で連れ立って、庭へ戻る。

入ってすぐ、顔面蒼白の沈村景がトイレから出てきた。腹を押さえ、足取りもおぼつかない。

沈村景は安田歌子を見つけた瞬間、救いの神でも見たみたいに目を見開き、ふらつきながら駆け寄ってくる。

「歌子! やっと帰ってきた...

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