第29章
言われなくてもわかる。沈村景だ。
古崎拓人も歩み寄ってきた。
「どうやら、あの激辛ソース入りのブリトーが効いたみたいだな」
そう話しているうちに、沈村景が壁に手をつき、ふらつきながら出てきた。
入口に立つ安田歌子を見て、自分を待っていてくれたのだと勘違いしたらしい。
「歌子、薬を買って戻ってきてくれたのか?」
安田歌子は鼻で笑った。
「吐くついでに、脳みそまで一緒に出しちゃったの?」
まさかまだ、自分が薬を買ってきてくれると思っていたなんて。
沈村景は息も絶え絶えのまま、苦しそうに言った。
「歌子、頼むからもう怒らせないでくれよ……」
自分が本当に怒らせて死なせでもした...
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