第46章

安田歌子には、沈村遥の腹の内が手に取るようにわかっていた。

――どうせ、本当にボクシングができるなんて信じていない。粗を探して、恥をかかせるつもりなのだ。

安田歌子は沈村遥をちらりと見て、短く言った。

「秘密」

「秘密?」

沈村遥は思った。嘘をついているから言えないんだ、と。

こんな好機、逃すわけがない。

「ボクシングって習得が難しいって聞きます。小さい頃から始めて、十何年も毎日みたいに練習して、やっと身につくって」

沈村遥はわざと無邪気にぱちぱちと瞬きをしてみせる。

「歌子は、どのくらいやってるの? 動きがすごくプロっぽいって言われてたよね。専門の学校とか通ってたんじゃな...

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