第57章
沈村景には、あまり時間がなかった。撮影班の目を避け、わざわざ一人で来たのは、誰にも気づかれたくなかったからだ。
だからこそ、回りくどい前置きもなく切り出した。
「安田歌子は農林省では働けません」
白石京宇は一瞬きょとんとした。ここまで直截だとは思っていなかったのだろう。それでも育ちのよさを崩さず、微笑みを保ったまま口を開く。
「申し訳ありません、沈村さん。この件は、安田歌子さんご自身に決めていただく必要があります」
「それが彼女の決断です。ただ、自分で来て断るのは気まずかったようで、僕が代わりに伝えに来ました」
白石京宇は紳士的で礼儀正しい。だが、だからといって沈村景の言葉を鵜呑...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
9. 第9章
10. 第10章
11. 第11章
12. 第12章
13. 第13章
14. 第14章
15. 第15章
16. 第16章
17. 第17章
18. 第18章
19. 第19章
20. 第20章
21. 第21章
22. 第22章
23. 第23章
24. 第24章
25. 第25章
26. 第26章
27. 第27章
28. 第28章
29. 第29章
30. 第30章
31. 第31章
32. 第32章
33. 第33章
34. 第34章
35. 第35章
36. 第36章
37. 第37章
38. 第38章
39. 第39章
40. 第40章
41. 第41章
42. 第42章
43. 第43章
44. 第44章
45. 第45章
46. 第46章
47. 第47章
48. 第48章
49. 第49章
50. 第50章
51. 第51章
52. 第52章
53. 第53章
54. 第54章
55. 第55章
56. 第56章
57. 第57章
58. 第58章
59. 第59章
60. 第60章
61. 第61章
62. 第62章
63. 第63章
64. 第64章
65. 第65章
66. 第66章
縮小
拡大
