第241章 二人はオフィスでキスした

 北村萧は軽口を叩きつつ、北村辰のパソコンを操作していた。

 他の人間がどう思っているかは知らないが、佐藤愛は生きた心地がしなかった。手足の置き場に困るほど、緊張がピークに達している。

 だって、このオフィスで北村辰とキスをしたのだから。

 あの時、北村辰は理性を失ったかのように激しかった。愛の腰を抱き寄せ、ソファに押し倒し、その大きな手は……愛の胸元を彷徨っていたのだ。あんな痴態を他人に見られたら、もう人間として生きていけない。

 愛にとって、意向書の紛失など些細なことだ。彼女自身の名誉こそが大事なのだ。

 あんな映像が北村萧の手に渡れば、後半生はずっとあいつに弱みを握られ、いい...

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