第273章 彼女があの客

一行は中村純子の背中を追い、空港の外へと歩を進めた。

北村辰は、隣を歩く佐藤愛の緊張を肌で感じ取っていた。彼は声を潜め、彼女を宥めるように囁く。

「おチビ、母さんはああいう人なんだ。少し冷たく見えるかもしれないが、怖がることはない」

「根はいい人で、情も深い。心配しなくていいよ。きっと君のことを気に入ってくれるはずだ」

北村辰の慰め言葉に、佐藤愛は思わず小さく舌を出した。

彼はそうやって機嫌をとってくれるが、彼女だって馬鹿ではない。中村純子から向けられた嫌悪感に気づかないはずがなかった。

とはいえ、相手は北村辰の実の母親だ。無礼な真似はできない。彼女はあくまで笑顔を崩さず、中村純...

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