第300章 人命に関わる

北村辰は受話器の向こうで、クスクスと低く笑った。「なぜって……会いたいからだよ。無性にね」

 その言葉を聞いた瞬間、佐藤愛の胸の奥がじんわりと温かくなる。

 彼女は受話器越しに「うん」と長く甘えた声を出し、こう続けた。「じゃあ……そんなに私が恋しいなら、迎えに来てよ」

「ああ。場所をスマホに送ってくれ。急いでな」

 佐藤愛が北村辰に位置情報を送信してまもなく、鈴木ククが車を滑り込ませてきた。

 ウィンドウを下げ、鈴木ククが声をかける。「愛、乗りなよ。送ってくから」

 佐藤愛は首を横に振った。「ううん、結構。あんた一人で帰りなさい」

 即答された鈴木ククは、瞬時に状況を察したよう...

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