第320章 ガシッと握った

 北村辰は言葉を切ると、佐藤愛のベッドの縁に腰を下ろし、その華奢な身体を引き寄せて自身の腕の中に閉じ込めた。

 元々痩せ型だった佐藤愛だが、数日にわたる入院生活に加え、食事も睡眠もままならず、さらには葉田静香による騒動も重なり、以前よりもさらに細くなってしまったようだ。

 病衣越しに触れる背中は、骨の感触が直接伝わってくるほど頼りない。

 その薄さが、どうしようもなく胸を締め付けた。

 北村辰の胸に顔を埋め、佐藤愛は夢言のように呟く。

「私も会いたかった……すごく、会いたかった」

 二人は互いの体温を確かめ合うように強く抱き締めた。鼻腔をくすぐる互いの香りが、理性を揺さぶり、本能...

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