第336章 人に見せられぬ裏仕事

 佐藤愛がメッセージを送信してから、随分と時間が経過していた。だが、北村辰からの返信は一向に来ない。

 これは、辰らしくないことだ。

 交際を始めて以来、辰の愛への入れ込みようは尋常ではなかった。彼は愛を目に入れても痛くないほど溺愛し、掌中の珠のように大切に扱ってきたのだ。

 愛からの連絡であれば、たとえ会議中だろうが仕事の最中だろうが、手が空き次第、即座に返信を寄こすのが常だった。

 三十分が過ぎても、やはり辰からの反応はない。さすがに心配になった愛は、辰の秘書である高橋安に電話をかけた。

 次期奥様からの着信とあっては、高橋も無下にはできない。受話器越しの彼の態度は、極めて恭し...

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