第338章 あなたのベッドで寝る

言いかけて、山田真里は言葉を濁した。

 中村美緒の関心を引く術を、彼女は熟知している。案の定、美緒は身を乗り出してきた。

「あの子、何て言ったの?」

「それは……」

「早く言いなさい」

「……『中村さんは私と親戚でもないくせに。北村家の奥様という立場じゃなければ、誰があんな風に媚びへつらったりするものか』と、そうおっしゃっていました」

 真里の言葉を聞いた瞬間、美緒の顔色が変わった。

「媚びる」――その一言が、美緒と姉である中村純子との間にあった血の繋がりに、決定的な亀裂を入れたのだ。

 長年、名門に嫁いだ純子に対し、美緒は甲斐性のない男と結婚し、結局は破綻してしまった。その...

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