第95章 ちょっと腰が痛い

佐藤愛は心臓がキュッと縮こまるのを感じた。また北村辰にキスされるのだと、そう思ったのだ。

ところが、北村辰はまるで手品のように、ポケットから佐藤愛のつけぼくろを取り出し、有無を言わさず彼女の顔に貼り付けた。

彼は言った。「君のほくろは、やっぱり貼っておいた方がいい……」

彼の思わせぶりな態度に、佐藤愛の心は乱れるばかり。今の彼女は、一刻も早く北村辰の腕の中から逃げ出したいと思っていた。

この男は毒だ。自分にとって致命的な引力があるようで、これ以上接触すれば、きっとこの男に惹かれてしまう。

北村辰とは距離を置かなければならない。

だから、門の外から北村蕭のバイクの音が聞...

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