第97章 自信がない

どうしてこうも、高村楓という男は鬱陶しいのだろうか。どこにでも現れる気がする。

高村楓は佐藤愛が北村辰の車から降りてくるのを見かけると、慌てて数歩駆け寄り、彼女に声をかけた。

「佐藤愛、おはよう」

佐藤愛は礼儀正しく返す。「おはよう。早いじゃない」

「ああ、川原裕子からデザインコンペの話があるって聞かされてさ。早めに来て三人で相談しようって」

三人はクラスメイトで、いずれもデザインを専攻しているため、交流するとなれば自然と共通の話題も多くなる。特に高村楓は話し好きで、川原裕子や佐藤愛との仲も良かった。

佐藤愛は高村楓に頷いてみせる。「わかった。じゃあ、キャンパスに入って川原裕子を...

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