010.知らせてやるか

3年7組の担任が校長室へ呼ばれたのは、それから三十分ほど経ってからだった。

二十代前半の青年で、黒縁眼鏡。レンズの奥の顔立ちはまだ幼さが残り、笑うとどこか照れくさそうで、口元にえくぼが浮かぶ。

彼は両手をきゅっと握り、落ち着かない様子で机の前に立っていた。陽城第三高校の校長と直に会う機会など、そうそうないのだろう。全身から「失礼がないように」と言わんばかりの慎重さがにじんでいる。

林田校長は咳払いを二つ、三つ。ソファに座る石原絵梨花へ視線で示し、改まった声で言った。

「転入生だ。君のクラスに入れる。案内して、クラスの様子を説明してやってくれ。校内のことも一通りな」

渡部岳人は訝しげ...

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