187.何かおかしいと思わなかったのか

石原絵梨花の妙な沈黙に気づいたのだろう。電話の向こうの相手は、誰かを寝かしつけたあと、こちらも一拍置いてから言った。

「アリスに急ぎの用があるなら、代わりに俺が処理できる」

石原絵梨花のまぶたが、ぴくりと跳ねた。

――でも、すぐに気づく。これは好機だ。

彼女の知る限り、櫻井翔太とアリスを除けば、西村雅哉は「特盟」に最も通じている三人目だ。国際連盟の上層部として、日頃から特盟と天盟の案件に関わっている。しかも、税関まで管轄している。

短い逡巡ののち、石原絵梨花はボイスチェンジャーを使わないことにした。澄んだ声のまま、まっすぐ問う。

「私、アリスに特盟の情報を聞きたいんだけど。あなた...

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