020.ちょうど合格

石原絵梨花は夜の自習に戻らなければならない。だから松岡友希は、ただ簡単に麺を一杯だけ茹でてやり、すぐに出来上がったそれを運んできた。

具も飾り気もない、至って素朴な一杯。なのに味だけは、石原絵梨花がこれまで食べたどんな麺よりも――意外なほど、うまかった。

学校のよりも。

石原絵梨花は心の中でそう結論づけ、何も言わずに丼を空にした。

食べ終えて顔を上げると、松岡友希を見て少し迷い、口を開く。

「振り込む」

今の彼女の持ち物は、きれいさっぱりスマホ一つ。鞄の中身も大したことはない。何かを渡して礼をする、というわけにもいかなかった。

松岡友希は眉をわずかに上げ、ゆったりと袖をまくる。...

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