021.今はできるようになった

チャイムが鳴り終わるや否や、教卓の鈴木は袖を払うようにして教室を出ていった。

7組の面々は顔を見合わせ、最後には後ろの席――まるで何事もなかったみたいに平然としている石原絵梨花へ視線が集まる。けれど正面からは見られない。こっそり数回盗み見て、すぐに目を逸らした。

村上佳奈がしょんぼりしたまま近づき、縋るように石原絵梨花を見上げる。

「……私、もうお小遣いない。もう一冊買えない」

また親にバレたら終わりだ。小説に小遣いを突っ込んだと知れた瞬間、説教だけじゃ済まない。ガチで殴られる。父も母も、両方から。

安田莉子は村上佳奈を見て、それから石原絵梨花へ視線を移し、ふう、と小さく息を吐いた...

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