067.誰がピアノを動かしたのか

彼女が声を上げた瞬間、控室はふっと息を止めたみたいに静まり返り、十数人がいっせいにこちらを振り向いた。

福原優奈は、最初は何とも思っていなかった。けれど石原絵梨花のすぐ隣に座っている以上、同じように視線を浴びることになる。

それで、勝手に背筋が冷えた。

――なんで、こんなに静かになるの。

石原絵梨花は長い脚を組み、椅子の背にわずかにもたれ、肘掛けに腕を預けたまま指先で顎を支えている。やる気のない、だらりとした姿勢。

女性ヘアメイクの声を聞いて、絵梨花は淡々と言った。

「いらない」

それでも女性ヘアメイクは引き下がらない。身を乗り出す勢いでまくし立てる。

「元がすごくいいんです...

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