071.石原絵梨花を甘く見すぎだ

「もちろん、あんたのピアノだって分かってる。じゃなきゃ、なんで手を出すの」

石原絵梨花は、目を真っ赤にして駆け寄ってきた石原七緒を見下ろし、気だるげに鼻で笑った。

バットをぽいっと脇へ放る。

「私がこのピアノに何かしたって言うんでしょ。だったら、何もしないまま終わったら……もったいないじゃない」

そう言って一歩寄り、壊れた鍵盤を痛ましげに眺めるふりをしながら、今にも泣きそうな七緒へ、笑っているのか分からない顔で囁いた。

「石原幸雄と石原聡美に連絡すれば? あんたのこと大事なんでしょ。新しいピアノ一台くらい、どうってことない」

七緒がはっと顔を上げる。

「わざとでしょ……わざとや...

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