088.3・22事件

石原絵梨花は彼女を一瞥し、表情ひとつ変えずに言った。

「離して」

「離さない。先に答えて!」石原七緒が食い下がる。

石原絵梨花は言葉にしがたいものを見る目で七緒を眺め、何かを思い出したように鼻で笑った。

「ぶつかってきたのはそっちでしょ。聞きたいんだよね。いいよ」

言い終えるより早く、石原絵梨花は手首をひねって七緒の手を振りほどく。

石原七緒が状況を飲み込む前に、絵梨花の指が稲妻みたいに絡みついた。掴み直した手首を――そのまま、容赦なく後ろへ折り上げる。

「っ……!」

七緒の顔が一気に歪む。

「痛い痛い痛い! 石原絵梨花、離して! 離してってば!」

「離したくないんでしょ...

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