第7章

真希視点

医者は静かに言った。「感染症そのものは重いものではありませんが、すぐに処置が必要です。このまま放置しますと、腕に後遺症が残る恐れがあります」

潤の顔から血の気が引いた。「どのくらい、ひどいんですか?」

「患部を洗浄して、抗生物質を使った治療を行います。経過を見させていただくため、今夜は入院をお願いすることになります」

「私も泊まります」潤の声には、議論の余地がなかった。

「ご家族なら泊まれますよ」と医者は言う。

「彼女の婚約者です」潤は間髪入れずに答えた。

私は彼を見た。彼は安心するよう促すように微笑んだ。

医者が去った後も、中村知子はまだ戸口のところにいた...

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