第4章

 頭上の無影灯が、痛いほど眩しく輝いていた。

「やめろ」悠真の低く感情のない声が、手術室に響き渡った。「手術は中止だ」

 私は凍りついた。

「悠真?」

 彼は冷たく、嘲るように笑った。

「本気で俺がこの手術を受けさせるとでも思っていたのか、葵? お前のような見栄っ張りな女は、一生暗闇の中で過ごすのがお似合いだ。俺が与えた束の間の希望を、せいぜい楽しめたか?」

 そう言い捨てると、彼はきびすを返し、大股で手術室を出て行った。

 しかし、ドアが閉まった瞬間、里奈が再び口を開いた。

「手術を続けて」彼女は命じた。

 医師の一人がためらった

。「ですが、悠真様が――」

「彼は怒っているだけよ」里奈は有無を言わさぬ口調で遮った。「続けなさいと言ったの。これは私の決定よ。何かあっても、私が責任を取るわ」

 麻酔がゆっくりと私を深い眠りへと引きずり込み、打ち砕かれた夢の霞の中へと沈めていった。

 再び目を覚ました時、私の両目は分厚い包帯で覆われていた。

 看護師が近づいてくる足音が聞こえた。続いて、目薬が落ちるいつもの感覚があった。最初はひんやりとしていた。だが次の瞬間、眼球に焼け焦げるような激痛が爆発した。

「ああッ――!」私は悲鳴を上げ、苦痛のあまり顔をかきむしった。

 それは目薬などではなかった。密かにすり替えられた、腐食性の化学薬品だったのだ。

 悠真は、そこまで私を憎んでいたのだろうか?

 痛みで全身から冷や汗が噴き出し、やがて高熱が体を駆け巡った。薄れゆく意識の霞の中で、医師たちがパニックに陥りながら話しているのが聞こえた。

「感染が酷い! 四十八時間以内に再度角膜移植を行わなければ、眼球を――最悪の場合、命を落とすかもしれません!」

 私はベッドに横たわったまま、弱々しく、かすれた息を吐いていた。

 その時、病室のドアが開いた。悠真の足音が聞こえた。

「これが、お前が払いたがっていた代償だ、葵」氷のように冷たい声で彼は言った。

「全て自業自得だ」

 ちょうどその時、親友のサラが病室に飛び込んできた。痛みにのたうつ私を見た瞬間、彼女の目は真っ赤に染まった。彼女は悠真に突進し、その頬を力いっぱい張り飛ばした。

「この最低野郎! 自分が何をしたのか分かってるの!?」サラは怒りに震えながら叫んだ。

「あんたは葵を見栄っ張りだの、自分を捨てただのって言い続けてるけど。この大馬鹿野郎! そもそも、あんたがどうやって視力を取り戻したか分かってるの!? あんたに自分の角膜を差し出したのは、葵なのよ!」

 悠真は完全に硬直した。

「な……今、なんて言った?」

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