第10章

吉崎由紀は顔面を真っ青にし、震える手で紙とペンを取った。

目の前の真っ白な用紙を見つめたまま、いつまで経っても最初の一筆が落ちない。

審査員も、ほかの参加者も、彼女の異変に気づく。

会場のあちこちから、ひそひそ声が立った。

「……どういうこと? あいつ、ほんとに描けんの?」

「ほら、盗作だって言われてたんだから、ここで実力見せなきゃだろ」

「っていうか、今までのも誰かのパクリなんじゃないの?」

吉崎由紀の頬がかっと赤くなる。どう立て直せばいいのか分からない。

そのとき。

試験会場の扉が、ばっと押し開けられた。

入ってきたのは吉崎直子だった。

黒いパーカーに身を包み、片手...

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