第100章

『それから、この背景に写ってる土壁の家だけど』

吉崎直子の声は、妙に淡々としていた。『よく覚えてる。私があの村に来て二年目の夏――十一歳の時、大雨がずっと続いて、この壁は夜の豪雨で崩れたの』

『それなのに、さっき大宮海人さんは、私たちが恋人で、永遠の愛を誓い合ったって言ったよね』

『じゃあ聞くけど、その頃の私はまだ十歳。十一歳になった途端、あんたみたいな男と勝手に将来を誓い合うほど物が分かってたってわけ?』

言い終えると、吉崎直子は視線を、ぶるぶると震える大宮海人へ向けた。

その目の奥にあるのは、あからさまな嘲り。

吉崎直子の反論は筋が通っていた。理路整然としていて、いわゆる決定...

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