第106章

 刹那、谷村健也の目がかっと見開かれ、反論しようと口を開く。

『おまえ……』

『谷村健也、よく聞きなさい。瑞豊の契約は、来週の月曜までに必ず取りなさい』吉崎直子が言葉を遮る。声音は容赦なく強い。『取れたら、あなたは営業部長の椅子に座り続けていい』

『取れないなら、その職にふさわしくないってことよ』

『その場合は私が直接、取締役会に解任の申請を出す。……転職したいなら好きにすればいいわ』

『あなたが言ってる世論の圧力? それは私が処理する。余計な心配は不要よ』

『今すぐ出ていって』

 谷村健也は怒りで胸を上下させた。本来ならこの場で、瑞豊の件を丸ごと彼女に押しつける算段だった。

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