第14章

吉崎直子は無菌ガウンに着替えると、医師のあとについて手術室へ入った。

室内にはほかにも数名の医師と看護師がいて、羽島お爺さんの容体を固唾をのんで見守っている。

直子を連れてきた医師が言った。

「みんな下がって。この方に状態を確認してもらう」

その一言で、全員の視線が一斉に直子へ集まった。揃って浮かぶのは、信じがたいという顔。

羽島お爺さんの心疾患は極めて複雑で、世界でも屈指の難症例だ。心臓外科のトップクラスである自分たちですら手に負えず、佐藤源を呼ぶしかない――そういうレベル。

それなのに、どう見ても二十歳前後の少女が執刀?

冗談だろう。

直子は疑いの眼差しを淡々と受け流し、...

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