第15章

吉崎由紀と羽島喜太郎は同時に言葉を失い、顔色を悪くした。

――ありえない。

由紀は拳をきつく握りしめる。今すぐ駆け寄って吉崎直子の肩を乱暴に揺さぶり、「どういうことなの」と詰め寄りたい衝動を必死で飲み込んだ。

直子はずっと田舎にいたはずだ。定期的に、田舎での様子を報告させてきた。

世間知らずで、何の取り柄もないはずだった。

それなのに――どうして、こんな神業みたいな手技がある?

由紀の怒りは、頭から湯気が出そうなほどだった。

直子が恥をかくと踏んだ場面ほど、なぜか彼女は逆に脚光を浴びる。

どうして?

なんで?

どんな理屈で?

年配の医師はまだ羽島浩介に向かって感嘆しっぱ...

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