第17章

吉崎広峰は古田奥さんを呆然と見つめたまま、しばらく言葉が出なかった。

「……誰のことです?」

「吉崎直子よ」古田奥さんが苛立たしげに言い直す。「どうしてここにいないの?」

一同がどよめく。到着して早々、あの大物が名指しで吉崎直子を探すなど、誰も想像していなかった。

そもそも吉崎直子は、これまで会社で何か仕事をしていたわけでもない。どうして古田奥さんと面識が――?

吉崎広峰自身も状況が読めず、慎重に言葉を選ぶ。

「直子は用事があって不在です。……お会いになりたいのでしょうか? 失礼ながら、彼女と奥さんがご存じ合いだとは、私も存じませんでした」

古田奥さんの表情がさらに冷えた。

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