第18章

三十分もしないうちに、吉崎直子は吉崎グループの正門前へ到着した。

彼女の姿を認めた途端、古田奥さんはさっと車のドアを開け、笑顔で駆け寄る。

さっきまで吉崎家の前で見せていた、尊大で人を寄せつけない態度は影も形もない。親しげに吉崎直子の手を取ると、ぎゅっと握りしめた。

「直子! やっと来てくれたのね!」

吉崎直子は淡く笑って返す。

「お久しぶりです」

あまりにも親密な呼び方に、吉崎家の面々は顔を見合わせた。周囲にいた株主たちまで、ぽかんとしている。

投資界の大物。どれだけ頭を下げても近づけない相手だ。

それなのに、田舎育ちで世間知らずのはずの吉崎直子が、その人物と繋がっている。...

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