第31章

「い、いえ……そんな……」

羽島喜太郎はあわてて取り繕った。

「ただ……まさか祖父さんが、よそから客を呼ぶなんて思わなくて」

「よそ者だと?」

羽島老人は露骨に不機嫌になり、低く言い放つ。

「よく聞け。吉崎さんがここにいる限り、この家の客人だ。おまえたちは誰であろうと、三分は譲って敬え。いいな」

叱られた喜太郎は、口をつぐむしかなかった。

神崎晴子は吉崎直子を、刺すように見据える。

羽島浩介が席に着こうと近づいた瞬間、晴子が先回りして彼の隣へ腰を下ろした。向かいに座るしかない吉崎直子へ、眉尻をきゅっと持ち上げて挑発する。

吉崎直子は、ただ可笑しかった。

あの程度の魂胆、誰...

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