第46章

背後でくすりと笑う声がしたが、吉崎直子は取り合わず、振り返りもしないまま部屋へ入った。

ドアを閉め、壁にもたれる。なぜだか心臓が早鐘を打ち、頬が妙に熱い。

直子は自分の頬にそっと触れた。

きっと、羽島浩介みたいな厚かましい男に腹を立てたせいだ。

そう、絶対それ。

ひとり呼吸を整えると、そのままベッドに潜り込んだ。

夜は何事もなく過ぎた。

翌朝。直子が目を覚まし、二階の部屋を出た瞬間――ダイニングのテーブルに、やけに豪勢な朝食が並んでいるのが目に入った。

直子は眉をわずかに上げ、階段を下りる。

自分が普段食べるものとは違う。まして家の使用人が用意した品でもない。

足を止める...

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