第66章

周囲の社員たちはその名を聞いた途端、いっせいに色めき立った。

『あのハッカー界の頂点、『零様』ってやつ? 何年も大会優勝してるって噂の』

『うそだろ。林原グループの営業部に、トップハッカーが来たってこと?』

『吉崎副部長、なんで技術部じゃなくて営業部なんだよ。完全に人材の無駄遣いじゃん』

ざわざわとした声が、吉崎直子を中心に渦を巻く。

当の本人は終始淡々としていた。

「私が誰かなんてどうでもいい。問題は解決した。みんな、仕事に戻って」

そして、早くから固まったままの林原玄也へ視線を投げる。

「まだ何かある? 用がないなら、こっちの仕事の邪魔をしないで」

林原玄也は奥歯を噛み...

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