第83章

小坂雫は、身を起こした吉崎直子を見て、顔から血の気が引いた。

少女の双眸は冴えきっていた。昼間のような虚ろさも、焦点の定まらぬ濁りもない。澄み切ったその眼差しは、まるで二振りの刃のように、まっすぐ小坂雫の胸を貫いてくる。

『あ、あなた……まさか……』

怯えのあまり舌がもつれる彼女を見て、吉崎直子は冷ややかに嗤った。布団を払いのけ、ゆっくりとベッドから降りる。

『まさか、何? 正気を失って、あなたの好きにできるはずだった……そう言いたいの?』

『わ、私は……』

目の前の少女が一歩、また一歩と迫ってくる。小坂雫は腰を抜かしそうになりながら、必死に後ずさった。

だが、逃げ場はすぐに尽...

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