第119章

宴会が終わり、杉山奥さんが車を手配して高橋遥を送り届けた。

高橋遥が車から降りると、黒いレンジローバーが彼女のマンション前に停まっているのが見えた。萩原裕大が車体に寄りかかってタバコを吸っていた。珍しく葉巻ではなく、普通の男性用タバコだった。

高橋遥が車から降りるのを見ると、彼は歩み寄って資料を手渡した。「お兄さんの裁判、審理日が二ヶ月延期されたよ」

高橋遥は資料を受け取りながら、指が少し震えた。「どうしてこんなことに?」

萩原裕大は深くタバコを吸い込んだ。「少し調べてみたんだが、内部の人間は詳しいことを言わなかった。高橋さん、稲垣社長に聞いてみたらどうだろう。彼なら私より情報に通じ...

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