第123章

夕方になっても上村舞はまだ目を覚まさなかった。

中村清子は高橋遥の赤くなった目を見て、優しく言った。「私がここで見ているから、家に帰ってお風呂に入って着替えて、少し休んでからまた来たらどう?このまま無理し続けるのは体に良くないわ。それに、お父さんも家であなたのこと心配しているでしょう」

高橋遥は小さく頷いた。

帰る前に、彼女は上村舞の手を握りしめた。「舞、早く目を覚ましてね」

中村清子の目も再び潤んだ。

彼女は高橋遥の側に歩み寄り、小声で尋ねた。「今朝、医師を見送った時、あなたと松本裕樹さんを見かけたわ……あなた彼を受け入れる気になったの?」

高橋遥は少し黙ってから答えた。「中村...

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