第59章

高橋遙の耳がより赤くなった。

彼女は細い白い手で小さな引き出しを押さえ、彼に見られないようにした。「何でもないわ!新しく買った香水を、今開けたばかりなの」

「そうか」

稲垣栄作はいつもと違い、ゆっくりとした物腰を見せた。「少しつけてみて、香りを嗅がせてよ。香水は女性の最高の寝間着だって言うじゃないか」

彼の声色は実に挑発的で、女性が断れないような強さを帯びていた。

高橋遙はまったく抵抗できなかった。

会話の間に、稲垣栄作はすでに小さな引き出しを開けていた。確かにそこには香水の瓶があり、稲垣栄作はそれを手に取って高橋遙の耳の後ろに少しだけ香水をつけた……刺激を受けたのか、その柔らか...

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