第109章 傷ついた心

一か月前の北条寒生は、死んでも自分がこんな青臭くて滑稽な質問を口にするなんて思ってもみなかった。

三十の男が、二十の彼女に「俺のこと、好きか」なんて――みっともないにもほどがある。

それでも、答えが欲しかった。

葉山ゆうは、逞しい腕の檻に閉じ込められたまま、荒くなった息を押し殺せずにいた。驚いた小鹿みたいに目を見開き、覆いかぶさる男を呆然と見つめる。乱れた唇は震えるのに、声が出ない。

まさか北条寒生が、こんなことを聞いてくるなんて。

彼は――そういうことを聞く男じゃない。

妊娠を計算に入れ、無理やり自分をそばに置いた男だ。切れ味鋭く、欲しいものは力で奪う。そんな男が、彼女の気持ち...

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