第12章 深夜の逃亡

日向茜は、残っている最後の力を振り絞って彼を押し、掴み、蹴った。爪が彼の首筋と胸元をかすめ、薄い赤い線がいくつも残る。

その代償は、さらに凶暴な制圧だった。

彼女は闇の中に横たわり、目だけを開けたまま、見えない天井を見つめる。

痛みが、層になって重なっていく。胃をねじ切るような痙攣。右の掌の切創。背中を机の角にぶつけた鈍い内出血。それに――新しく刻まれた痛みと、ずっと前からある、口に出せない痛み。絡まり合っているのに、どれも別々に、はっきりと存在していた。

もう何度目なのか、数えられない。

二年。結婚してから、真田修一の「求め方」に、温度というものが一度もなかった。

キスもない。...

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