第15章 11件の不在着信

化学療法が終わったころには、日向茜はもう、自分がいったい何度吐いたのかさえわからなくなっていた。

ただのだるさじゃない。鈍い槌で、骨の芯を一打ちずつ叩かれているような重苦しさ。五臓六腑をいったん引きずり出され、ぐしゃぐしゃに捩じられたあと、そのまま無造作に腹へ押し戻されたようだった。

点滴が落ちきると、看護師が留置針を抜き、刺し口に綿球を当ててテープで留める。

「すぐ動かないでくださいね。30分は様子を見てからにしましょう」

日向茜は小さく返事をして、顔を横へ向けた。

ガラスの観察窓の向こう、廊下に立つ寺内安が見える。

寺内安の目は、泣き腫らして桃みたいに膨れていた。

日向茜と...

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